高校野球

大阪桐蔭・中川卓也 ミスからの大逆転劇に号泣した話


ミスを挽回するために練習した男

あれだけ盛り上がっていた夏の甲子園からふた月。

あの感動はもはやすっかり忘れ去られているかと思いますが

(本当、2ヶ月ってデカイ…)

野球ファンとしては注目のドラフト会議が近付いてきました。

 

甲子園の後に行われるU-18の世界大会では惜しくも日本は優勝を逃したけど、日本のトップレベルが集結したチームで過ごした影響は今後の野球人生に大きく関わるはず。

事実として当時、甲子園二連覇を達成した駒大苫小牧のキャプテン・林裕也選手も、現中日ドラゴンズの平田選手ら怪物級の選手たちと一緒にプレーして、自分の実力不足を感じてプロへ進まなかった。

甲子園で大活躍だったのに、、です。

 

高校生の伸びしろってハンパじゃないから、大会で得たもの感じたものを今後に活かして頑張っていってほしいと思います。

 

高校生に注目選手が多いので、個人的に今年のドラフト会議はすごく楽しみです。

春夏連覇の大阪桐蔭から何人が指名されるのかも注目。

 

藤原選手や根尾選手はまず上位指名が間違いないと思うのですが、僕が一番注目しているのは主将を務めた中川卓也選手。

 

秋田・金足農の快進撃で沸いた2018年の甲子園。

僕が一番感動したのは、優勝直後のインタビューで見せた彼の涙でした。

 

 

どこまでご存知かわからないので(たぶん知らない方も多いので)軽く説明させて頂くと、一年前2017年の夏の甲子園、3回戦の大阪桐蔭 VS 仙台育英戦で事件は起こります。

この年、春のセンバツ甲子園を制した大阪桐蔭は当然のごとく、夏も優勝候補筆頭として名前が挙がっていました。

しかし結論から言うと、仙台育英にサヨナラ負けを喫してしまいます。

 

8回に自身のタイムリーヒットでもぎ取った1点で勝利目前から一転、9回ツーアウトから自身のミスが火種となり先輩たちとの夢が潰えた。

そんな壮絶な試合を体験したのが、当時二年生レギュラーだった中川卓也でした。

 

大阪桐蔭1点リードで迎えた最終回。

9回裏ツーアウト一、二塁という緊迫した場面で、次のバッターの打球はショートゴロ。

ショートを守っていた泉口選手からファーストの中川へボールが送られてスリーアウト。

 

試合終了でヒーローは決勝打の中川!

 

・・のはずだったんです。

 

ピッチャーも野手も勝利を確信して1点差での勝ちに胸を撫でおろし、ベンチの選手たちもグラウンドへ集まろうとしていた。

 

が、一塁の判定はセーフ。

 

信じ難いことにこのとき、中川の足が一塁ベースから離れていた……

 

試合終了かと思いきや一転して大チャンスを掴んだ仙台育英は当然勢いに乗ります。

反対に大阪桐蔭は一気に追い込まれる。

 

それを助長するかのごとく球場は異様な雰囲気に包まれ、大阪桐蔭のアルプス以外全員と言っても過言ではないほど球場全体が王者相手の番狂わせを期待し始めました。

 

その後、気を取り直してプレーを再開するも、次打者にサヨナラヒットを浴びて2点を献上し逆転負け。

 

あの日、たった数分で歓喜が絶望に変わったんです。

自分のミスで負けた。

 

ご存知のとおり野球はチームプレーですし「誰のせいで負けた」なんてことは基本存在しません。

 

ただ、あの試合だけは違う。

ベースを踏み忘れるというミスは重すぎた。

 

あれを「俺のせいじゃない」と言える無責任な選手はおそらく甲子園には立っていないでしょう。

 

実際のところ、このミスが起きた原因ともとられる事件はあったのですが、

(それにより仙台育英の選手は炎上して大問題に発展した)

本人がそれを言い訳にしていない以上、ここでは割愛します。

 

でも正直僕はあの試合の後、彼が野球をやめるんじゃないかと思いました。

 

先ほどもお伝えした通り

「自分のせいで」

もっと言うと

「自分のプレーだけが原因で」

負ける試合ってそうそうないんです。

 

多少エラーしようがチャンスで凡退しようが、負けるときには他にもたくさん原因があることの方が多い。

だからこそあの場面で、しかも甲子園という大舞台で、それを味わった彼の想いは想像を絶するものがあります。

 

それでなくても全国制覇を義務付けられるような強豪校のプレッシャーって、僕ら常人には計り知れないものがあるはずですから。

 

大阪桐蔭のファンというより、全国に何万人といる高校野球ファンが史上初、二度目の春夏連覇という偉業を期待していた夏。

まだ十数年と短い人生のなかで、間違いなく彼にとってどん底の1日だったに違いない。

 

野球をやめるだけならまだマシで、最悪引きこもるんじゃないかとすら思いました。

だからこそ、今年の優勝で男泣きしていたのは心から震えた。

 

どん底からの日本一。

カッコ良すぎるだろうと。

 

あの敗戦後、同級生全員一致で中川がキャプテンに選ばれたというエピソードも鳥肌でしかない。

 

そんな簡単なもんじゃないし表現が適切かどうかは置いておいて、今年の大阪桐蔭の優勝は必然だったようにも感じてしまいました。

凄すぎる。マジで。

 

言ってしまえば彼は陰から陽へこの1年で思いきり人生を変えたわけですが

「本気でキツイときにどうするか」

この選択次第で、その先にまったく違う結果が待っているんだなと。

 

敗戦を受け止めて責任と向き合い、どん底の精神状態から逃げることなく死にものぐるいで闘った。

キツイ現実に蓋をし、見て見ぬフリをしている人間には100%不可能だと思います。

 

しかも正直、彼はいくらでも言い訳して良かった。

 

割愛すると言いつつ少しだけ触れますが、このミスの前に中川は相手バッターと一塁ベース上で交錯しています。

ファーストの選手が一塁ベースを踏むなんて傍からみたら当たり前でイージーなプレーでしょう。

 

ただ、現場は違う。

 

送りバントを失敗する選手に

「おいおい、バントくらい決めろや!」

とヤジを飛ばす観客もいるけど、やってみたらめちゃめちゃ難しいのは野球人全員が知っています。

 

ファーストのプレーにおいても同様の側面があって、本人がどう言おうと9回裏のあの瞬間に「恐怖」は絶対にあったんです。

経験したことがある人間はわかる。

 

僕がファーストを守ったときに一番恐かったのは

送球ミスが多い野手 でも
左打者の痛烈な打球 でもなく

打者走者とベース付近で接触すること でした。

 

ファーストを守る以上こっちはあの場所に唯一のアキレス腱を捧げているわけで、そこに何かあったら選手生命なんて簡単に絶たれますから。

 

だから彼がなんと言おうと、恐さがなかったわけがない。

(と僕は思います 笑)

 

そんな状況でも言い訳を一切せずに接触した相手選手さえも気遣い、自分の責任としてしっかり受け止めた。

これって普通できないじゃないですか?

 

何かキツイことがあると僕たちはすぐに他人や何かのせいにして自分を守ります。

「なんで俺だけこんな目に…」
「どう考えても不公平だ」

こんな感情を抱いたことは腐るほどある。

 

でも、そんな被害者意識はなにも生まなくて、現実を受け止めた上で前向きに対処していく以外にないんですよね。

 

そんな簡単に割り切れない。

やっぱり思い出すだけでつらい。

 

わかります。

でも、僕たちはそれでも進まないと。

 

今がキツくても本気で立ち向かえばどうにもならないことなんて1つもない。

そもそも「自分が対処できない何か」なんて人生には起こりえない。

 

中川卓也が起こした「世紀の大逆転劇」からそんなことを強く感じさせてもらいました。

 

自分の責任で前向きに歩を進める強さ、ですね!

 

先輩への想い
仲間への想い
自分への想い

 

そして、応援してくれるすべての人への感謝。

 

屈辱や怒りも含め色んなものが詰まっているであろう彼の涙は、本当にこの上なく美しいものだった。

 

 

ビジネスでもプライベートでも、実際のところ、毎日が順風満帆なんてありえないじゃないですか。

どう考えてもキツイときの方が多いし、なんならその割合も5:5なんてもんじゃない。

 

部活やスポーツにしてもそうです。

夏の高校野球があれだけ感動をくれるのって、3年間のキツイ想いがすべて報われる瞬間に立ち会えるからだと思う。

 

実質2年と8ヶ月=約1,000日のうち、間違いなく900日以上はしんどかったはずです。

 

ビジネスを頑張っていてもそう。

さすがに中川ほどじゃないにしても、ときにどん底に落ちるような場面だって襲ってくる。

 

だけど

結果が出なかったり
人知れず苦悩を味わったり
負の感情に包まれたり

そういう影を経験するからこそ、来たるときの光が輝きを放つんだと思います。

 

今のしんどい想いが大きければ大きいほど、僕たちの成功エピソードは人に勇気を与える。

諦めることなく、全力で走っていきましょう。

 

「死ぬほどキツかったけど、
あのとき頑張って良かった」

 

そう思えるような今を送っていきましょう。

 

 

余談ですが中川は甲子園のあと、U-18日本代表の主将も務めました。

これも凄いことだなと。

 

自分で立ち上がり、大きく成長する尊さ。

 

ぶっちゃけドラフト会議では同じ大阪桐蔭の怪物、藤原君や根尾君が目玉でしょう。

夏の甲子園、彼らが並ぶ四番・五番が対戦相手の脅威だったことは想像に難くない。

(あれは高校生レベルでは抑えられない 笑)

 

ただその彼らとクリーンナップを担い、チームを日本一に導いた三番の中川。

僕はこれからもいちファンとして、彼を応援し続けたいと思います。

 

ということで

最後に中川卓也の素敵なインタビューを拝借して、この記事を締めようと思います。

 

それでは!

 

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「あの試合、『一生後悔しろ』と言われれば出来るぐらいのゲームだったんですけど、
そこでずっと後悔してやっていてもチームにとってプラスにならないと思った。

切り替えは難しいですけど、負けた悔しさ、1球の悔しさを忘れてはいけないと思った」